おマけ
「困ったわ・・」
「本当ねぇ」
「これは、大変なことになちゃったものね」
ドリア・ラザニア・サングリアの三人が厨房で机の上を見つめて三者三様にため息をつく。
「これじゃ、意味がないわ」
机上にはなにか大きな紙が広げられている模様。
「だって、あのお二方といったら人目も憚らずにいちゃいちゃなさるんですもの。」
「でも、あれはコンラート閣下が陛下にそうなるように仕向けているとしか考えられないわ」
どうやら三人の悩みの種はユーリとコンラッドのようだ。
しかし、方や王様と元王大使、方や厨房で働く侍女三人、二人とこの三人にいったいどんな関係があるのだろうか。
「この間もね、ユーリ陛下が休憩したい〜とか廊下に響くような声でおっしゃってたのよ。でも、ギュンター閣下がなかなかお許しくださらなくってね。そこで、コンラッド閣下が」
「「うんうん、閣下が?」」
ドリアの覗き見情報に食いつく二人。
いつの世も、どの世界でも女の子はうわさ好きなんだよ(By 村田)
「『ギュンター、一定時間毎に休憩を入れるほうがよりはかどると聞く。ちょっとくらいいいだろう?』って」
「「で、休憩できたの?」」
ドリアがずずいと身を乗り出せば、同じように身を乗り出す二人。
「勿論、閣下のおかげで陛下は休憩をいただけたの。でも、それだけじゃなくってね」
「「何があったの!?」」
ずずいと更に身を乗り出し、三人の顔は今やくっつきそうなほど近づいていた。
「閣下の手には、ぐろーぶとかいう陛下の休憩には欠かせないものが既に準備されていたの。もう陛下はこれに大喜び。」
ふぅ、と息を吐き椅子の背もたれに寄りかかるドリア。
ラザニアとサングリアはいまだ机の上に身を乗り出したまま。
「これは、明らかに狙ってるわ」
「確実ね」
二人は何かを確信したように頷きあう。
「そう、それでね、陛下ったら閣下にもうべったりなの」
あれで落ちないはずないわよね〜と言いたげに、遠くを見つめる。
「え〜、それは困るわ!」
「本当に、もう少し抑えてくださると助かるのに・・・」
三人は再び溜息をつき、机に置かれた紙に視線を戻す。
「これじゃ、配当金が・・・というか賭けにもならないじゃない」
そう、机に置かれていたのは陛下ご寵愛トトの現在の状況。
彼女達の心配していたのは、自分が賭けに勝って儲けることが出来るかどうかだった。